またドット絵のゲームかよ……と始めたワーフリが3周年を迎えた

ドット絵を使ったゲームとなると、90年代のレトロゲームを思い出す方も多いだろう。このドットというのはなんでも作るのがすげえ大変らしい。そして3D表現が主流になってきたこともあって、作品数としては徐々に減り始めてはいる。しかし、根強い人気に支えられていて、ノスタルジックな雰囲気を醸し出す表現手段としてわかりやすいこともあり、ドット絵はゲームにおいてまだまだ現役の表現手法である。フィルターなどでドット風の表現を盛り込んだゲームもちらほら発売されている。

▲ドット絵とドットフィルターを融合させたスゲェスマートフォンRPG『ワーフリ』について語る。

レトロなものに条件反射的に惹かれてしまう修正のある筆者のようなゲームおじさんは、基本ドット表現に弱い。「昔の格ゲーのドット表現、やばかったよなァ」とか30年くらい前の作品の話を1年に1回くらいして、そのことをすぐ忘れ、また次の年の飲み会で同じような話題で盛り上がっている。でも、最近になって、ちょっと目が覚めてきた。表現や技術の進歩とともに終わるはずだったドット絵は、ノスタルジーを醸し出すための道具、いわゆるおっさんほいほい的な要素として使われているんじゃねえのということに気づいてしまったのだ。そんな「気づき」もあって、スマホゲームの雄であるサイゲームスからリリースされた『ワールドフリッパー』(通称ワーフリ)がリリースされた頃には、「ハイハイ、ドットね……」みたいな感じになっていた。でもまあ、サイゲのゲームだから遊んでおくかみたいなスタートを切った。


こじらせまくった態度で遊び始めたワーフリだったが、RPGとしては実にユニークで、斜に構えていた自分も「ゲーム」部分に惹きつけられた。キャラクターを組み合わせて”ユニゾン”させることで多彩な強さを生み出せるパーティ構築。スマホゲーにありがちな周回ゲーではあるのだが、周回効率があがっていくことにコツコツやりこめるRPGの気配を感じた。なにより、ピンボールをバトルにアレンジするというセンスに脱帽した。これは長く付き合えるゲームになるかもしれない……と思った矢先に、有料のガチャで出たキャラに関わる要素が、即座にナーフされるという出来事が発生。これにはゲームバランス崩壊の可能性もあったのでやむを得ぬ事情もあったのだろうが、おれは感情の生き物なので引退を決意した。当時の自分はいろんなゲームを遊んでいて、ガチャという課金に関わる要素がぐらぐらしているゲームを続ける気はしなかったのだ。友達に「引退するわ」とか宣言したような気がする。

▲ワーフリでは、ピンボール風の盤面の上で、ドットで描かれたキャラクターたちが戦う。操作が大変なのでは……と思うかもしれませんが、このゲームには有能すぎる”フルオート”があり、育成がある程度進むとおよそ98パーくらいのコンテンツをフルオートで処理できます。

オタクの引退、中でもおれのような格闘ゲーマーの使う引退という言葉は、綿よりも軽い。嫌なことがあれば引退、負けても引退、気分が乗らなければ引退。でも、またやりたくなったら、引退するわとか言ったのにしれっと復帰しているから性質が悪い。復帰には特に深い理由もなかった。ソシャゲでよくある大盤振る舞いのバラマキイベントに釣られてしまった……くらいのものだ。

久々のワーフリは、全く追いつける気がしない状態からのスタートとなった。先に進んでいる友達や、エンドコンテンツと同じレベルで遊ぶためには、キャラも武器も足りない。そこで、ストーリーやイベントを楽しみつつゆったり遊ぼうと頭を切り替えたところ、怪我の功名的にワーフリの物語とドット表現の凄まじいシナジーに気づいてしまった。

スマホを握りしめつつ微妙に涙腺が熱くなっているのを実感したとき、40歳になってゲームに涙する自分のキショさと、このゲームの凄味に興奮したのを覚えている。もうドット絵には驚かないだろうと思っていた自分が、ドット絵に驚かされている。ノスタルジーを感じるのがドット絵の良さのはずなのに、ワーフリのドット絵、ドット表現は新しさに溢れていて、感情を揺さぶるほどのパワーがある。めちゃくちゃ小さいのに一目で誰かわかるドット絵は異様なまでのいこだわりが見られる。それを画面狭しとぶんぶんと動かし、ありきたりなものではなく、”これしかない”ようなエフェクトを贅沢にぶちこんでくるのだ。技術的なことはよくわからないが、ドット絵とドット風フィルターを合わせたスゲェテクを使っているみたいなことをどこかで聞いた。理屈はわからなくても美味いものは美味いし、スゲぇものはスゲぇ。

 

ストーリーの良し悪しを評価する際、好みの問題は避けて通れない。泣きゲーが好きな人もいれば嫌いな人もいる。人がバタバタ死ぬ地獄のような展開が好物ですという方もいるだろう。ワーフリはいろんなストーリーを詰め込み、さまざまな趣味嗜好に応えようとしているが、それでも物語が合う人ばかりではないかもしれない。アニメやゲームのストーリーというのも、年々ハイクオリティになっており、受けて側もちょっとやそっとで感動したり驚かなくなっている。おれとかももう泣きゲーではなかなか泣けないし、よくある熱血ものではむしろ冷えるばかりである。そのうえ、「この話、海外ドラマで似たようなの見たな」とか夢も希望もないような感想を口から垂れ流したりするから救えない。

 

そんなこじれてひねくれ散らかしたおれではあるが、ワーフリについてはメインストーリーやイベントの更新を心底楽しみにしている。新キャラクターが実装されるたびについてくるキャラエピソード見たさにガチャを回し始めたりする。

周りのワーフリプレイヤーにも、こじらせまくったオタクが多い。映画の封切り日に見に行って「微妙だったな」とか言いまくっているオタクもいる。おれもよく言う。でも、こうしたオタク仲間たちがワーフリのストーリーに文句を言っているのをあまり聞いたことがない。それは、ワーフリのストーリーが、物語と圧倒的ドット表現が絡み合うことで唯一無二のものに昇華されているからであろう。音楽とかキャラクターデザインももちろん超イイ。コラボキャラが実装されると、「ワーフリテイスト」でコラボキャラが描き直されるのだが、イラストもドットもワーフリとして、予想を上回るものが飛び出してくる。

▲コラボキャラたちのイラストとドット。一目でわかるのすごない?

ワーフリのストーリーの作りは、熱い戦いをより熱く、切ないシーンをとびっきり切なく、そして何気ない日常すらも深みあるように見せてしまう。ワーフリのキャラクターたちは、平和とか世界の行く末とか大きなものに向き合いつつも、彼ら各々に、ささやかな想いや悩みを抱えている。そういうのすら、とても美しく、丁寧に描くドット表現……。ここまでやらなくてもいいだろ……と恐れるくらいにヤバイ。新ストーリーが実装されると、SNSに開発の苦労を心配する声が上がったりするが、ちょっと本気で心配になるときがある。

ソシャゲのシナリオはスキップされることが多いパートだ。「ストーリーの良いソシャゲ」みたいに謡うゲームもたくさんあるが、ストーリーを読み込ませる表現を備えたものとなるとなかなかない。据え置きハードやPCなどで、ハイエンドなゲームを遊んでいると、ストーリーがいいのは当たり前。そこに素晴らしいイベントムービーやCGが合わさっているという体験に慣れすぎていて、どうもストーリーだけでは満足できない体になっている。
なのに、ワールドフリッパーのドット表現を組み合わせたストーリーには見入ってしまう……。予算とかは工程はもちろん違うんだろうけど、同じような熱量を感じるのだ。

 

そんなわけでおれも3周年を迎え、まったり遊ぶつもりが、気が付けば実装済のキャラの99%以上を所持するあほと化してしまった。(1体だけ未所持のゾンビランドサガコラボをサイゲームスは今すぐ復刻してほしい。)

 

「ワーフリは唯一無二のゲームである」と自信を持って言える。
ストーリーの見せ方。ユニークなバトル。魅力的なキャラクター。

勢いだけで書いているので、ありきたりなフレーズを並べてしまったが、プレイすればその唯一無二さがわかるはず。
未プレイの方は、だまされたと思ってストーリーだけでも是非触れてほしい。
特に、後半の章に、ヤバイものが詰まっている。


ワーフリを今遊んでおかないと、いつか後悔する日が来るかもしれない。人気の有無に関わらず、スマートフォンゲームは、おそらく、何十年かの先に追体験することがとても難しいはず。事実として、ガラケーの時代、名作だなあ……と遊んでいたタイトルは、人気なものも含めて、今はそのほとんどを追体験できない。復刻プロジェクトとかも行われているが、それはごく一部のタイトルだ。スマートフォンゲームの場合、コラボとかを盛んにやっている関係もあって、復刻はさらに高いハードルだろう。

ストーリーを楽しむだけなら、意外と編成のハードルも低く、今は3周年イベントでバラマキが手厚い。新規プレイヤーに向けた施策もすこぶる充実している。

はじめるなら「今」である。

ワールドフリッパーから逃げるな。

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