【格ゲー】DNFDuelから逃げるな

バージルの幻影剣、ダークフェニックスの変身後だし何してもいいやろ感、まともに触れに行くことを許されないギルガメッシュの鎖。知ってる人いるかわからないけれどカプコンから発売されしキャラゲー史上最強の弟子ケンイチ 激闘!ラグナレク八拳豪』のジークフリートのアーマー技……。

格闘ゲームの世界に、数々の面白すぎる壊れ技を投げ込み、多数の中毒者を生んだ神メーカー”エイティング”が制作に携わっている神2D格闘ゲーム『DNFDuel』がいよいよ本日発売となった。このゲームは世界に多くのファンを抱える『アラド戦記』を格闘ゲーム化したもので、発売元はNexon(とされているが、パッケージの背表紙はアークシステムワークスのロゴが入っている)。

制作は『ギルティギア』シリーズを手掛けるアークシステムワークスと、エイティングが共同で行っている。発売までに2回のβテストが開催されたのだが、それを遊んだ限りでは「エイティングのスパイスが強め」に感じられた。画面全体かと思うような巨大な攻撃判定の技のリスクが異様に低かったり、相手の後ろに画面端を作り出す技がフツーの必殺技だったり、空中からとても対空できそうにない勢いで突進してきたりしたのだ。人の命をなんとも思っていない感が画面上から滲み出でている。

 

おれたちは思い込みの激しい生き物なので「これはエイティングの厨房で作られた」と勝手に決めつけ、期待を膨らませ続けていた。

▲破壊的な性能を持つ技が数々存在する『DNFDuel』。おれは今夜ヒットマンで勝ちに行く。本当に使いたいのはkawaii女キャラクターです。

敬虔なエイティング信者として発売日を楽しみにしていたところ、直前になってバッドニュースが舞い込んできた。本作は発売日が火曜日という変則日程。そのうえダウンロード版の事前予約はなしで、配信開始が16時ということが直前になって判明したのだ。近年、多くのソフトはダウンロード版が0時から遊べる仕組みになっていたりするのだが、本作はパッケージ版に時間のアドバンテージがあることになる。パッケージ版を28日の0時に入手すれば16時間の、28日10時に入手すれば8時間の差をダウンロード版につけられるというわけだ。これはダウンロード版を買っている場合ではない。

「16時間とか8時間とかの差ってそんな大きいの、待てばよくない?」みたいな大人の意見もあるだろう。しかしおれたち格闘ゲームおじさんにとっては、新作格闘ゲーム発売直後の数時間は至福の時間でもある。世はインターネットによる情報高速拡散世界、「このキャラ強いっぽくね」、「この技壊れてるだろ」、「うおお、神コンボ見つけた」みたいなやりとりが右も左もわからない状態でできるのは、発売後数時間のことなのだ。時間が経ってこういう感想を述べようものなら、「あーそれ配信者の●●さんも言ってたわ」、「プロゲーマーも気づいてたなそれ」みたいな言葉を浴びせられることになる。ゴジラインとかいうサイトも、攻略記事を一早くアップしようとしていたりしてどうしようもない。なのでおれたちは一刻も早くソフトを入手し、遊び始める必要がある。インターネットを見ることをやめればおれたちは幸せになれるのかもれないな……。

おれは意を決し、仕事を捨て置き、ヤ●ダ電機へと向かった。開店凸というやつだ。しかし、ゲームの棚には『DNFDuel』が並んでいない。かつて日本でも人気を博した『アラド戦記』ではあるが、今日の知名度や、本作のプロモーションのゆるふわっぷりを見ていると、パッケージ版の出荷数というのもそう多くないのかもしれない。しかし、おれは諦めが悪すぎる人間なので、とりあえずカウンターへ向かい、店員さんに在庫確認をしてもらうことにした。

「すみません、今日発売のDNF DUELっていうゲームなんですけど、入荷してますか」

 

ヤマダ電機の店員さんは全員がゲームオタクというわけではないので、ソフトをお探しの際はわかりやすく伝えなければならない。


「ディーエヌエーデュエル、ですか、少々お待ちください」


「ディーエヌエフデュエルです。すみません」

「ディーエヌエフデュエルですね。かしこまりました」

「はい、できればプレイステーション5版があると嬉しいのですが、PS4版でも良いです」

店員さんがカウンターの奥へと消えていき、数分が経過した。今日入荷のソフトでこれだけ時間がかかるということは、おそらく入荷はないのだろうと諦めかけたとき、これ以上ない朗報がもたらされた。

 

「すみません、プレイステーション5版の在庫がありました。初回の特典もついております。こちらでよろしいでしょうか」

 

「ありがとうございます!!!!!!」

DNFDuelから逃げるな。